原価管理は誰が担当するのか

話を単純にするために、経営者はこの議論から外して、
登場人物を、
・管理者(管理部長、コントローラー)、
・入力担当者(経理職員、オペレーター)、
・社外会計人(税理士、会計事務所職員)
と三者とします。

私が、長々と話してきたことは、9割が管理者に対するメッセージです。
入力担当者に話しても、どうにもならないことが多いです。

なぜなら、ルールをつくるのは管理者の仕事であり、
ルールを守り、ルール通りに処理をしていくのが入力担当者の仕事だからです。

わかりやすい教訓があります。

仕組みをまじめに守るは従業員

仕組みを破壊するのは経営者

私が何度もお伝えしている言葉です。

入力担当者に伝えるべき仕組みは、量が少ないです。
たいていすぐに覚えて実践しています。
一定レベルのことを伝えても、前提条件を変える権限がないので、
使い道がありません。

それにたいして、
管理者に伝えるべき仕組みは、量が多いです。
前提条件を変更することができるし、
仕組みを壊しやすいからです。

仕組みを
無視せず、
無関心にならず、
壊さないようにし、
時代にあわせて修正していくよう、
管理者が仕組みを理解することが重要です。
そのため、多くのお伝えをしています。

伝えるべき、管理者がいない場合、
伝えることができません。

入力担当者に伝えても、
キャパオーバーで、伝えた内容が消えてしまいます。

よくある考え方で
アウトソーシングがあり、
専門家に任せればいいじゃないか。
という考えがあります。

このとき、
仕組みの管理を代行してもらうのか、
仕組みの修正点をアドバイスしてもらうだけなのか、
丸投げしているのか、
判別が必要です。

よく聞く話で、
当社の経理は、税理士さんに任せているから安心。
という話です。
そんな会社にかぎって、顧問料は激安です。

税理士さんは、税務会計をするときに
利益がでるのであって、
それ以外の仕事をしても、効率が悪くなり、
利益がでない業務になり、
結果、会計事務所の職員の給料もさがっていき、
退社が続出します。

今回のテーマである、
税理士に原価管理を依頼しようというのは、
事務代行か?
管理代行か?
指導のみか?
もしくは税務的原価管理のアドバイスか?

どの依頼をしているかで、
報酬が変わってくるはずです。

顧問料増額を含んだ依頼なのか?

原価管理は、
製造業で言えば、当社専用の金型をつくるようなもの。
当然、当社以外では流用できないです。
金型を作る時が一番お金がかかります。
だから、金型代を当社が全額負担して、
さらに、一定期間の発注量も条件に、製造を受けます。

原価管理も、
税理士にとっては、専門家ら大きく外れた専門外の領域です。
原価管理を理解したからと言って、
他の中小・零細企業の顧問先に売れるかといっても、
普通は売れません。
売れないサービスの商品開発や研究と教育に時間をかけてられません。

会計事務所職員の時間チャージは7,500円です。
原価管理の知識習得に100時間かかるなら、750,000円の初期費用と、
さらに、原価管理のメンテナンスを月平均10時間かけるサービスなら、
75,000円アップが必要です。
75万の初期費用は、1年で短期回収するなら月平均62,500円
合計、月額137,500円の上乗せが必要です。
顧問料アップの負担を覚悟してないのに、
効果だけ得ようというのは、話になりません。
(職員ではなく、幹部以上なら時間チャージは15,000円以上になります。)

普通は、
原価管理を税理士に依頼しません。
当然、税務申告の関連で、データを見せてくれと言われたら、
見せることは必要です。

入力担当者でも、税理士でも、
原価管理の依頼ができないとなれば、
当然、社内の管理者がやることになります。

管理者候補の準備ができているようでしたら、
徹底的に伝授していたのですが、
準備が間に合わなかったようなので、
置手紙として文章で残しています。